介護1年生の日記「とことん口の悪い中野さん」

こんにちは、介護はじめました。newginです。

昨年11月、晴れて某メーカーのグラフィックデザイナーというお仕事から足を洗い、以前から興味のあった介護の仕事に飛びこみました。(詳しくは過去の記事「転職後に感じたメリット」をご覧ください)

http://newginland.com/2018/01/31/post-37/ ‎編

経験も資格も完全に0の状態からチャレンジしている看護1年生のわたしの気づきや思いを、介護の専門家ではない、今後両親の介護を考えていかないといけない世代の人たちと共有していけたら、という思いではじめたブログです。

今回は利用者さんたちの憩いの場である「食堂」で垣間見ることができる、利用者さん同士のおしゃべりに関する話をしていこうと思います。

とことん口が悪い中野さん

今回の主人公は80代後半の女性、中野さん(仮名)になります。

中野さんは、おしゃべり好きな、ちょっと困った人です。

「近所で周囲の人の悪口をいいまわったり、根も葉もない噂を町内中に広めたりするおばちゃん」をイメージしていただくと一番近いかもしれません。

食事にも、おやつにも、風呂にも、居住スペースにも、全てに対して何らかの悪口を周囲に吹聴しているので、介護スタッフのなかにもこの中野さんを苦々しく思っている人が結構多いようですね。

本当のところnewginも自分の生活圏にこういう人がいたら「最も苦手なタイプ」になるような人なのですが、中野さんの会話をよくよく聞いてみると苦々しく思う前に、少し笑ってしまうところも多く、最近では「楽しそうにしてるからいいか!」と思えるようになってきました。

今回はnewgin勤務の介護施設にいる「ちょっと憎めないトラブルメーカー」中野さんの話を紹介していきたいと思います。

中野さんの会話の特徴

1. 固有名詞が全然でてこない

これは介護施設利用者さん全員に言えることですが、もうすぐ90歳になる中野さん、会話の中に固有名詞が全然でてこないことがあります。

もうほとんどが「あれ」か「あの」に置き換えられてしまうので、何のことを言っているのか意味がわからないレベルです。

隣で聞いている人がウンウンと頷いていたりするのが不思議でなりません。

そんなこともあり、会話の内容はほぼ「悪口」なんですが、どうにも間が抜けているコントのようで、そばできいていると笑いがこみあげてくることがあるんです。

例えば先日はこんなやりとりがありました。

中野さんと、聞き上手な90代女性田島さん(仮名)の会話

中野「昨日ほんと腹立つことあってね。ほら、あの人! いつもくる人いるでしょ。えーっと、なんて言ったかね?」

田島「だれじゃろうねえ。お医者さんのことかね?」

中野「いや、お医者さんじゃないと思うけど。わからんかな、あのいつも来ている人

田島「それでなにがあったん?」

中野「いや、ほら、あの人がいつも持ってくるものあったでしょ、あの大きいやつ

田島「大きいのってなんじゃろうねえ」

中野「あれもわからない? ほら、この前あなたもつかったでしょ。あれなんていうやつだっけ。あの人なら知ってるわ。ほれ、あの女の人

しゃべるたびにわからない単語が量産されていって本題の「腹が立つ話」まで全然たどりつきませんでした。ちなみに「あの人」についてはnewginも誰のことだかさっぱりです。

ちなみにこの時は腹が立つ話をはじめたことも忘れて、最終的に「今日のおやつが美味しくなかった」という別の不満話にすり替わっていました。

2.記憶力に差があるため、話がかみ合わない

介護施設の利用者さんたちは、同じ出来事を体験したりしても、「記憶が残っている人」「残っていない人」がいます。

また、「10年前の話を昨日あっことのように記憶している人」や「最近のことしか覚えていない人」など記憶のありかたが人それぞれなので、ちょくちょく会話での齟齬がでてきます。

記憶のずれがあった時、最終的に「自分もぼけてきたのかなあ」とひくタイプの人の方が多いのですが、中野さんに関しては「自分の記憶は常に正常」というスタンスで話をしてきます。

どういうわけか思いっきり記憶違いしているときほど、やたら自信満々なところが面白いですね。

中野さんと、軽い記憶障害があり「控えめな性格」の柏木さん(仮名)の会話

柏木「食事のあとわたしの部屋にきません?」

中野「あら嬉しい!いかせてもらうわ!」

柏木「昨日わたしの部屋でお話ししていたあの話の続きをしたいんだけど」

中野「昨日?私しらないわよ

柏木「いや、昨日食事のあとに私の部屋でお話ししたじゃない?明日また相談しましょうねって」

中野「え?? 私あなたの部屋なんて1度もいったことないわよ。誰かと間違えているんじゃない? 間違えるなんて失礼よ、気を付けた方がいいわよ!

中野さん、最近では毎日のように柏木さんの部屋に遊びにいっているのですが「1度も行ったことがない」と言い切ってしまうのです。もうすがすがしいくらいに。

最終的に押し切られた柏木さんは「違う」と言われているうちにどんどん自分の記憶のほうに自信がなくなってきたみたいでしたね。最後は中野さんにあやまっていました。

さすがに「大丈夫!柏木さんのほうがあっていますよ!」と声をかけたくなりましたが、余計なおせっかいになりそうなのでやめておきましたけどね。

3.デリカシーのたががはずれている

お年寄りは皆多少そういう傾向があるのかもしれませんが、中野さんのそれは介護施設利用者さんの中でもトップクラスです。

普通の人ならは「あの人ちょっと太り過ぎよね」と言えばいいくらいのところを、中野さんに言わせれば「あの人みたいな不細工な人間今まで1度もみたことない、何を着たって醜くて、醜くて、見ていられないわ」となります。

ね。想像以上の酷さでしょう。酷すぎて笑っちゃうんです。

本当にひどかった時にやんわりと指摘したこともあるのですが、「だって本当に醜いじゃない!」と反省するどころか火に油を注ぐことになってしまいました。

今は他の利用者さんに迷惑がかからない範囲で放置しているのですが、そのうちトラブルに発生するんじゃないかと冷や冷やしています。

でもね、newgin的には、へんに上品な言葉でオブラートに包んだ悪口より、中野さんの直球の悪口のほうが耳障りがよいというのが本心なのです。

4.悪口もすぐに忘れてしまう

もしかしたらnewginが中野さんを許してしまうところはここに集約されているかもしれません。

悪口を言っていても翌日にはほとんどすっかり忘れているみたいなんです。

中野さんから「ここの施設の料理は全然美味しくない」と再三不満を聞かされていたので、ある日の配膳中に「美味しくないかもしれませんがめしあがってくださいね!」と冗談交じり、皮肉交じりで話しかけたのですが、不思議そうな顔をして「あなた、なに言っているの。ここの料理いつも美味しいじゃない!」と言われたことがありました。

けんかを買おうと思っていても、けんかを売ってきた相手がすっかり忘れているのでけんかが成立しないのです。

「吹っかけるけど、買わない」

中野さんが天然で実行しているこの方法を「けんか必勝法」に認定したいと思います。

本日のまとめ

今回は「おしゃべり好きな中野さん」について書かせてもらいました。

控えめに言っても「口の悪い」中野さんですが、刺激の少ない介護施設の生活の中では、良くも悪くもコミュニケーションの中心になる中野さんのような人がいてくれることは良いことなのかもしれません。

自由に外出もできず、食事くらいしか楽しみのない毎日のストレスを開放する術が悪口なのだとしたら、それはそれで大事にしてあげたいとも思いますね。

もちろん他の利用者さんに迷惑がかからない範囲ですが!

それでは今回はこのあたりで。

介護1年生、newginでした。
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