介護1年生の日記 「認知症×帰宅願望の坂本さん」

こんにちは、介護はじめました。newginです。

昨年11月、晴れて某メーカーのグラフィックデザイナーというお仕事から足を洗い、以前から興味のあった介護の仕事に飛びこみました。(詳しくは過去の記事「転職後に感じたメリット」をご覧ください)

経験も資格もなく「興味がある!」という理由だけで介護への転職に踏み切ったnewginが、介護1年生だからこそ気づく介護の魅力や問題点を紹介しています。1回目の今回は「介護に転職して得たメリット」を紹介しています。

経験も資格も完全に0の状態からチャレンジしている看護1年生のわたしの気づきや思いを、介護の専門家ではない今後両親の介護を考えていかないといけない世代の人たちと共有していけたら、という思いではじめたブログです。

今回はnewginの勤務先に入所されている坂本さん(仮名)との接点の中で感じていることを書いていこうと思います。

今回のテーマ「認知症×帰宅願望の坂本さん」

坂本さんは80代の小柄な女性です。

坂本さんは明るく冗談なども口から出てくる女性ですが、認知症が進行しており数分前の記憶が全て消えてしまいます。そのため食事が終わったあとに食堂にやってきて「まだ食事を食べていない」と言ったり、自分でちらかした部屋を見て「誰かが部屋をめちゃくちゃにしている」と訴えてきたりします

また帰宅願望がとても強く数分おきに「帰らせてほしい」とスタッフに訴えでてくるため、あわただしい時間帯にはちょっと困る存在だったりします。

坂本さんとの出会い

newginがはじめて施設にはいった初日に、さっそく坂本さんは「家に帰らせてほしいんだけど、いつ帰らせてくれる?」と質問してきました。

newginが対応に困っていると先輩看護士が「明日の10時に帰れますよ」といってくれたので「ああ、そうなんだ」と安心してその場を離れました。

あとでその介護士の先輩に話を聞いたところその話は全くの嘘でした。

実際の坂本さんは旦那さんは亡くなっており、親族にも引き取ってもらえるような先もなく、出所の可能性はないというのが本当のところだったのです。

「帰れるというと納得してくれる」「約束してもすぐに忘れるから」という理由で坂本さんに対して毎日何回も何回も何年も、この嘘をつき続けているのでした。

正義感と罪悪感の中で

はじめてこの話を聞いたとき、正直言うと心のなかに何かふっきれないものを感じました。

馬鹿がつくほど真面目な性格のnewginにはその行為が坂本さんに対しての裏切り行為に見えて仕方がなかったからです。

「利用者様にそんなに気安く嘘をついてはいけないんじゃないか」「嘘なんてつかなくてもなにかいい返答があるはずだ」そう感じていました。

坂本さんの件でふっきれない気持ちを抱えたまま、勤め始めて数日後。また坂本さんがnewginの元に車いすを寄せてきて質問してきました

「お兄さん、わたし帰らせてほしいんだけど、いつなら帰れる?」

newginはどうしても笑顔で坂本さんに嘘をつくことができず「ごめんなさい。僕にはちょっとわかりません」と答えてしまいました。

坂本さんはとても困った悲しそうな顔をして「お兄さんには分からないか・・・困った今日どうしても帰りたいのに」といって別のスタッフの元に車いすを寄せていきました。

嘘をついたことよりももっと大きな罪悪感にかられたnewginの目の先で先輩スタッフから「明日には帰れますよ」と言われてニコニコと嬉しそうな笑顔でお辞儀している坂本さんの姿がとても印象的で今でも心に残っています。

映画のように、誰かのために全力でウソをつくということ

この出来事をきっかけ1本の映画を思いだしました。

戦争をテーマにした映画「ライフイズビューティフル」という映画がありますがご存知でしょうか?

1997年制作されたイタリアの映画で、カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞し、アカデミー賞でも3部門で受賞するなど世界中で評価された名作映画です。

この映画、迫害されたユダヤ人の子供が母親から引き離され収容所に送りこまれた父子の日常を描いたストーリーなのですが、映画の中で父親は「これはゲームなんだよ」と子供に嘘を言いそれを信じさせるためにあらゆる手をつくし、最後まで過酷な収容所生活をゲームだと信じ込ませ楽しませるというところが話の軸になっています。

この作品は自分も好きな映画で、見た当時はこの父親にすっかり共鳴していたと思っていたのですが、自分が同じシーンに遭遇した時にはなかなか同じ行動はできないものですね。

心の変化 対応の変化

坂本さんとの付き合いは続き、今ではすっかり仲良くなっています。

あれからも坂本さんは毎日のように「いつ帰れるの?」と繰り返し、繰り返し聞いてきます。

後ろめたい気持ちが全くゼロになったわけではありませんが、今では笑顔で嘘をつけるようになりました。

いや、むしろ今ではできるだけ坂本さんをいかに喜ばせるかということだけを考え、どんなに忙しい時でも「大丈夫!明日にはかならず帰れますよ!」スタッフの中で一番の笑顔で答えてあげたいとさえ思っています。

今回のまとめ

今回は初めて施設の利用者さんのお話をさせていただきました。

プライバシーの話を含みますので名前や内容など少し変えている部分はありますが、全て事実を元にした内容になっています。

まだ介護1年生のnewginですが、「介護という仕事は相手が自分に合わせてくれることが難しい分、自分が相手に合わせていくことが必要な仕事」と言うことは今回の坂本さんの件を通して学ぶことができました。

坂本さんに限らず、利用者さんとのふれあいの中で感じたり、学んだり、時に「クスッ」と笑わせられることも毎日のように起こります。

利用者さんとのふれあいの中から感じることにこそ重要なポイントが隠されている場合も多いので、記事の中でまた紹介していきたいと思います。

それでは、今回はこの辺りで。

介護一年生、newginでした。
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